3・11反原発福島行動での希望の牧場・吉沢正巳さんの発言と稲葉さんの演奏の動画です。
吉沢さんです。(下に文字起こしました)
会場中が聴き入りました。
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希望の牧場・吉沢正巳さん
吉沢さんです。(下に文字起こしました)
会場中が聴き入りました。
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希望の牧場・吉沢正巳さん
私たちの浪江町は、9年前の大震災でめちゃくちゃに壊されました。震度7の地震、そして請戸漁港には15メートルの津波が押し寄せました。200人近い人たちが、命を失い、よく12日から全町避難ということで、みんな大急ぎで町ごと逃げました。津島に避難し、そこで猛烈な被ばくを3月14日から15日にしています。15日に総崩れとなって峠を越えて、二本松の東和に逃げ込んだあの日々のことを忘れてはいません。
ぼくの牧場からは、福島第一原発の排気筒が全部丸見えです。けさもあの解体工事の排気筒を見てきました。本当に廃炉なんかできるのか。ぼくたちが生きている間終わらない話です。ぼくたちの人生が終わってもなお、福島第一原発の、あの手つかずの燃料デブリの問題は、えんえんと手つかずでそっくりそのままだろうというふうに私は思うんです。
いまオリンピックなどに国が経済産業省が、放射能汚染水を海に流そうという話をしだしております。私たちの請戸漁港は、福島第一原発からわずか5キロ、6キロです。あの放射能汚染水を流されれば、福島県の漁業など、もうめちゃくちゃな状態になることは間違いないでしょう。浪江町では、すでに海岸部に200億の予算を使って、堤防のかさ上げ工事、セリ市場の建設などにもう見事に完成しました。いまあらたに、魚の加工団地の工事を突貫工事でやっています。しかし汚染水の放水によって、ぜんぶこれは台無しです。まったくふざけた、矛盾した、復興の計画をやっています。
いま浪江町の役場の隣には、大規模な道の駅建設工事が進んでいます。いったいそのオリンピックに間に合わせる道の駅の完成になにを並べるんですか!浪江町で。浪江町のコメ、野菜、果物、請戸漁港の魚、いったいそういう所に並べられるのか! 本当にぼくたちはこの浪江町をみながら、ずっと考えています。さようなら浪江町です。避難解除から3年。もどったひとはわずか5%。1000人しかいません。かつて2万1500にんの町が、もうぼろぼろの状態です。町の存続意味、それは崩れようとしております。
みなさん。私たちの浪江町は、小高浪江原発の建設工事を長い反対運動の末に、とうとう止めてしまった町です。その町が、もっとも放射能の汚染の、運の悪さを背負い、運命の私たちのレッテルとして、もうこの浪江には帰る意味はないんだということを、受任するしかありません。子供たちはどうなっているでしょう。かつて小学校6校。中学校3校、高校2つ。全部廃校です。かつて浪江町には1800人の小学生、中学生がいました。いまそれが100分の一です。わずか18人しか浪江町にはいないんです。子供たちが。アリバイですそれは。
本当に私たちは、JRの全線開通を祝えるのか。とんでもないことだと思います。双葉の駅周辺に復興拠点として人を住まわせる。そんな無理な話がいま動き出しております。双葉の町の人たちはもういわき市に吸収合併されております。なんであそこに双葉の人間を無理やり住まわせなければならないのか、本当に矛盾です。
みなさん。僕は思うんです。200万人福島県民みんなの連帯責任として、このどうしようもない福島原発事故の墓場を我々が生きている間、そしてその先にも、背負うしかないと思うんです。みんなの連帯責任です。そして放射能を生み出してきた、電力を使ってきた。東京や首都圏のみんなにもその連帯責任の一端を負ってほしい。そういう風に思います。電気がなければ暮らしも成り立たない大都会が、いま極限の一極集中のそのさなかに、オリンピックをやろうとしております。ふざけるなです。福島県の電力がなければ、一日も成り立たない、その首都圏が、福島をないがしろにして、福島の犠牲の上に、福島を差別して、自分たちさえよければいいという、無限の大都会の極限のエゴを、いま追及しようとしているとぼくは思うんです。しかしみなさん、3・11は終わっていない。
3・11というああいう地震や津波、もうまもなくじゃないでしょうか。終わってはいないんだ。シンゴジラというあの映画をみなさん見たと思う。あれは3・11のことを色濃く表しております。そして去年おきた温暖化の影響による台風の大洪水、東京・首都圏ですらもう限界状態にきているんではないでしょうか。この福島県では一番犠牲になった人が多かった。あの阿武隈川が氾濫し、夏井川は氾濫し、もううちの牧場の近くでも氾濫状態がそこらじゅうで起こりました。地球温暖化の影響は日本の火力発電をますます推進する。そのなかの結果として、私たちの頭上に、しっぺ返しとして起きていると思います。オーストラリアの山火事をみなさんみました。あの山火事の根本的な原因は、日本の石炭火力を追求する、そのなかの結果として起きていると僕は思うんです。
日本は原発の代わりに、原発を推進しながら石炭火力をこれからどんどんやる。その一番の場所が福島県の海岸部です。日本が石炭火力を推進すればますます地球温暖化が進み、そのしっぺ返しとしての、地球環境異変、そして大洪水、台風。
いまみなさん、コロナの問題でぼくはおそらくオリンピックが吹っ飛ぶだろうとはっきりみんなで言いましょう。オリンピックは中止だ!オリンピックは返上だ!
それどころじゃないぞ! 国民の命をなえがしろにして、安倍の独裁政治をさらに推し進めるような緊急事態条項が作り上げられようとしております。私たちはいま、国民の実力で、この安倍政治にたいし、声を上げ、体を張り、やはり戦い続けなければなりません。私たちは生きている限り、闘うしかない!
生きている限り、戦争への時代への逆戻り、原発の時代への逆戻りに対して、私たちは生きている限り、国民の実力とは何かを、見せつけなければならないという風に思うんです。私たちの力とは何か、私たちの実力とは何か、これを示さなければなりません。希望の牧場・福島はあの原発が丸見えの場所で、いまなお250頭の、被曝した売れない牛、国の邪魔者として、反政府活動の象徴のシンボリックメモリアルとして、これからも世界の人に広くみてもらう。そういうばしょとしてこれからも頑張り続けたいと思います。
金にならない牛を飼うことは、非常にばか(ママ)げています。でもそうではないんです。人間は命をどう扱うか、この問題を考えてきました。ひどい命の扱いは、からならず、深く心に、人間に傷を残すんです。基本的に人間はひどい命の扱いはしません。でもあの3・11でひどい命の扱いはそこら中にあった。人の命の扱い、飼っていたペットの命の扱い、家畜の命だって餓死、殺処分、全滅。これしかなかった。だからぼくはあそこで放射能を浴びながらも、牛飼いとして、生涯、牛とともに。それは今も変わりません。どうぞ希望の牧場に、浪江インター高速から降りて5分で来れます。どうぞ見に来てください。牛の寿命の間に、日本の原発を乗り越える。その時代に必ず行きたいと思います。ありがとうございます。
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