NAZENいけぶくろの櫛渕秀人さんからお便りをいただきました。

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 10年目の3・11で福島をめぐる攻防の第二ラウンドが始まります。
 原発再稼働・新規建設攻撃との闘いと、もう一つの舞台となる被曝・健康被害との攻防です。この新たな段階に立った時、是非とも読んでいただきたい本が小笠原和彦氏が著した『東電被曝二〇二〇・黙示録』(風媒社刊)です。

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 この著作物は福島原発事故による被曝と健康被害の実証的解明の道を探った貴重な作品と言えます。筆者の居住する千葉県東葛地域から、福島県の飯館村、大熊町、浪江町、福島市、郡山市などの居住者への聞き取り行脚の記録です。
 私は福島の今と結びつけながら、この間ヒロシマ、ナガサキの被爆者の闘いから改めて学び始めています。核と原発に反対する闘いを更に前に推し進めて行く上で小笠原氏のこの労作も大いに力になりました。

●千葉での小児甲状腺がんの実態からはじまる
 彼が最初に足を運んだのは千葉県北西部の東葛地域です。この地域では3・11から5年で3人の小児甲状腺がんが発見されたというところから始まります。検査総数は1832人。福島の県民健康調査のようにやればもっと多くの発症が確認されるのではないかと言われています。

●ヒロシマ「黒い雨」を彷彿とさせる体験
 次に飯館村からの報告として、「奇妙な現象」に触れられています。飯館村住民の写真家・安齋氏がフクイチ(福島第一原発)の水素爆発の際「雲がかかっていて大気が何か赤錆びたように見えた」「あとは金属の匂い」がしたという。「その日、飯館村は雪になり、黒っぽい雪が降ってきた」と語っています。ヒロシマ「黒い雨」訴訟を彷彿とさせる話です。
 さらに南相馬市立総合病院の2010~2017年の患者数の推移の一覧表が掲載されていますが、甲状腺がんの患者数は29倍、白血病は10.8倍など驚くべき実相が明らかになっています。心筋梗塞や肺がんなど他の疾患も軒並み4倍等々。
 今一つ、稽留流産について書かれています(稽留流産とは、出血や腹痛などのいわゆる流産の徴候がないが、超音波検査で発育が停止(流産)していると診断されるもの)。いわゆる「奇形児」に関わることです。検査の結果で「奇形児」と判明した場合、流産のような形で対処。医師はカルテに記録しないそうです。証拠が残るからです。これはかなりの数に上るようです。また福島県立医大病院の退職看護師の話として、検査でもわからず出産して「奇形」がみられる場合、これも闇に葬る。そして箝口令がしかれるとの話も載っています。更にヤマトシジミの奇形の話、福島県の男女出生比率の異様さなど他のメディアが全く報道しないことが沢山明らかになっています。
 この本は聞き書き方式のためデータに基づいて展開されているものは少ない。これは今後の私達の課題だと思います。NAZENいけぶくろではこの著者である小笠原和彦さんを招いて講演会を行います(2月13日13時30分~としま区民センター・資料代500円)
 福島の核惨事に怒り、何とかしようと思っている方、皆さん是非この本を読んで口コミで回りの人達に伝えて欲しいと思います。3・11がまたやって来ます。現地に馳せ参じましょう。そして怒りも新たに福島と一緒に進みましょう!

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