NAZENヒロシマの保科衣羽さんからのお便りです。

*************************
 広島原爆の放射性降下物は数十㌔離れた地域にも影響を及ぼしたのだから、その地域で原爆症にかかっている人たちに、国は被爆者健康手帳を交付して医療を補償しなさい──広島地裁は昨年7月、「黒い雨」による健康被害を訴え続けてきた原告団の主張を認める判決を出しました。8月に国と広島県、広島市は控訴。控訴審判決は来月7月14日です。
 「黒い雨」が降った地域のうち被爆者健康手帳が交付されているのは、75年前のきわめて限定的な調査手法に基づいて線引きされたごくわずかなエリアです。認定外の人びとは補償を求めて訴えました。しかし国は、1980年の原爆被害者対策基本問題懇談会(基本懇)の「(対象区域拡大は)科学的・合理的根拠のある場合に限定する」という意見書を盾に、現代の科学的知見をもってすれば拡大が妥当だとする科学者たちの意見をも、退け続けてきました。地裁判決後に始まった検討会でも、国の態度は変わっていません。
 原告団の長年にわたる裁判闘争が内部被ばくを国に認めさせる闘いであったことをあらためて知り、私たちは11月、原告の皆さんから報告を受ける会を設けました。翌12月には広島大学名誉教授・大瀧慈さんの講演会『「黒い雨」訴訟における“科学的知見”をめぐって』を開催しました。そしてこの度、ブックレット『広島原爆による内部被曝──「黒い雨」訴訟から学ぶ』を完成させました。
大瀧ブックレット表紙
 本書は内部被ばくの問題に正面から取り組み続ける科学者のひとりである大瀧さんの講演と当日の質疑応答を収録するものですが、戦後の被爆者の闘いの歴史について最初の章を割きました。「黒い雨」訴訟の意義、とりわけ「被害者の証言に基づき対象地域を拡大し、補償の対象となる疾病を発症していれば被爆者と認める」という判決を引き出したことの重みを理解するための大きな一助となるでしょう。
 またNAZENヒロシマは昨年、戦後の核支配体制の下で原爆被害の訴えを封じられ、原発推進に利用されてきた広島の歴史について学びました。その講演録『ヒロシマと原発』をあわせてお読みいただくことで、被爆者運動が乗り越えてきたものについての理解が進むのではないかと思います。
 この5月、「ふくしま共同診療所と共にあゆむ会」が本書と『ヒロシマと原発』をもとに学習会を開催し、次のような感想をいただいたのでご紹介します。

  •  「原爆投下後の広島で起きたことは、今の福島の安心安全キャンペーンと同じ」
  • 「広島の被爆者が内部被ばくを認めさせた長年の運動を、福島の私たちが受け継いでいかねばならない。避難・保養・医療はそのひとつであり、ふくしま健康手帳を具体化していきたい」
  • 「『黒い雨』は50年~60年かけた地道な調べによって表に出た。福島においても自分も含めて被曝者としての認識が必要」
  • 「広島の被爆者が内部被ばくを認めさせた長年の運動を、福島の私たちが受け継いでいかねばならない。避難・保養・医療はそのひとつであり、ふくしま健康手帳を具体化していきたい」
  • 「『黒い雨』は50年~60年かけた地道な調べによって表に出た。福島においても自分も含めて被曝者としての認識が必要」

 内部被ばくをめぐる闘いを共有し、世界中の被爆者と労働者民衆の反戦・反核・反被ばくの声が響き渡る8・6ヒロシマをめざして、力を結集しましょう!

*********************
◆注文要綱

●ブックレット『広島原爆による内部被曝──黒い雨」訴訟から学ぶ』頒価500円
●講演録『ヒロシマと原発』頒価100円
・送付先住所・氏名・電話番号/FAX番号・メールアドレス・「ブックレット」および「講演録」の希望冊数
※上記事項をもれなくご記入のうえメール、ファックス、郵便にてご注文ください。書店での取り扱いはありません。送料別途必要です。受注後にお支払い額[代金+送料]をお知らせします。
NAZENヒロシマ
〒730-0016 広島市中区幟町14-3-705
hiroshimanazen0311@gmail.com
TEL/FAX 082-221-7631
郵便振替【01350-4-89220 NAZENヒロシマ】