12月5日に行われたNAZEN福岡集会(報告はNAZEN通信12月号に掲載)への長崎の被爆者・城臺美彌子さんからのメッセージを紹介します(このメッセージは紙面の都合で通信では紹介できませんでした)。

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 2021.12.5NAZEN福岡結成10周年集会によせて
              NAZENナガサキ  城臺美彌子
       
 NAZEN福岡結成10周年おめでとうございます。熱意ある集会が開催されるだろうと期待し、心からお祝い申し上げます。夏に引き続いて怒りのフクシマのお話、黒い雨訴訟を勝ち取られたヒロシマの底力など、椎名さん、大江さんのお話をお聞きしてパワーをいただきたかったし、NAZEN福岡の皆様には一方ならぬご協力を頂いていますのに、本日、NAZENナガサキは「吉田和生写真展保養で生き返るフクシマの子どもたち」開催準備のため、ここに参加出席できなかったことを、大変心苦しく、残念に思っております。改めてお詫び申し上げます。

 コロナ蔓延の夏空のもと、8回目のナガサキ保養にはNAZEN福岡挙げての泊まり込みでご協力くださってありがとうございました。子どもたちとともに海にはいり、命の映像の記録をのこしてくださったこと、本当に感謝にたえません。

 さてこの度ナガサキの話に入る前に、大変心痛め、怒りと悲しみの訃報を知り、ますます国策により進められた原子力発電の恐ろしさと無責任さを実感いたしました。それは飯舘村の長谷川健一さんのご逝去の報でした。耳を疑いましたが10年目に来た放射能の刃でした。恐ろしい内部被ばくの犠牲になられたのではないでしょうか。お連れ合い様のご無念さを想い涙がとまりませんでした。この場をお借りしてご冥福をお祈りいたします。

 ICRP(国際放射線防護委員会)と国はこれまで、内部被ばくは、外部被ばくより1000倍危険などということは科学的根拠はありませんと言い続けてきましたが、実はカナダ人ペトカウ医師が1970年代に、低レベルの放射線が、人の体内、臓器、体液中では予想もしない大きな損傷を引き起こす。これは放射線が酵素分子に衝突して電気を帯びた毒性の強い活性酸素をつくりだす「フリーラジカル化」が低線量の場合ほど強く作用すると指摘していました。しかし当時世界的にエネルギーの大供給源として原子力発電を世界中に広めるうえで非常に不都合な真実であったためにペトカウ医師は無視されました。フクシマの子ども達の小児甲状腺がんも原発事故によるものとは考えられない、受けた放射線量はチェルノブイリ原発事故よりずっと低いのでと否定され続けてきましたが、放射性ヨウ素の半減期は8日ということで検査測定をした時にはすでに被ばく線量としては測定できないほどになっていました。しかし半減するというのは「フリーラジカル化」なのではないでしょうか。半減期が短いほど放射線は一度に機関銃のように細胞をきずつけるのだといわれています。ペトカウ医師は内部被ばくの場合は5000倍の危険性があると実験証明をしていたのです。ヒロシマの黒い雨訴訟が勝利したことはこのICRPによる内部被ばくに関する学説が真っ向から否定されたのですね。素晴らしい判決を得、さすがの菅元総理も反対することができないほどヒロシマの運動が進んで裁判を勝利に導き、これはナガサキにとってもフクシマにとっても明るい展望を得たと確信しました。

 ナガサキの闘いは被爆者なのに被爆体験者と呼ばれて被爆者健康手帳を取得できないでいる人たちがいることです。それは国が被爆地を爆心地から東西5~7㎞、南北12㎞に限定したからです。したがって東西で12㎞以内に入っているのに手帳がもらえない人達が被爆体験者と呼ばれている人たちです。当時長崎市ではなく町村つまり、行政区で被爆者かそうではないのかが決められていたわけです。

 「被爆後しばらくしたら燃えカスと一緒に黒い雨が降ってきた。シャツは真っ黒、体に染みついたぐらいよごれた。畑の野菜も黒くなった。水で洗って食べた。この地区にはそのころ水道はなく井戸も一つだけ。他はみんなため池の水だった。あの時、放射線のことは何も知らん。みんな黒い雨をあび、放射能で汚れた作物を放射能で汚れた水で洗って汚れた水をのんだんです」と語っています。
 76年間も病気と差別と闘い兄弟もリンパ腺がん、胃がんで亡くし、自身は30代で胃潰瘍、40代で脳梗塞、80代の今慢性胃炎、脳血管障害、狭心症などで、通院しているが手帳がないので自費です。

 長崎では原爆爆発後西風が吹き金毘羅山の東側へ放射性物質が降下したといわれています。まさにその下にいた人たちが当時、長崎市に隣接しているのにも関わらず、被爆者として国から何の保証も得られず76年間も苦しんでこられています。

 長崎県保険医協会は被爆体験者にも被爆者健康手帳の交付を求める署名を2万人以上集め、国、県、市に提出しています。敗訴続きの裁判にもめげず頑張っています。今ヒロシマとともに、被爆者と認めてもらえれば、次はフクシマです。条件は同じです。

 今後、福島ではヒロシマ・ナガサキで起こったことが出てくる可能性ありです。このことはフクシマに隣接する宮城県などにも言えるとおもいます。原発は安いとは言えなくなります。すべての原発今すぐ止めようの運動前進ですね。

 長くなりましたが、ヒロシマ・ナガサキ・フクシマ問題をともに全国NAZENで団結して進めていきましょう。本日のご盛会を祈念しています。

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