7月15日に、汚染水署名を東電に提出した際、意見交換という形で質問を行いました。その回答が7月28日付でありました(http://nazen.blog.jp/toden_kaito220802.pdf)が、回答されていない項目、真意が確かめきれない項目、再質問が必要な項目がありましたので、9月1日付けで再質問を送付しました。東電は誠意ある回答をお願いします。

 東電の回答に注目よろしくお願いします。


のトリチウムの人体への影響に関する項目ですが、東京電力としては基本的に回答書で添付しているところの「原子放射線の影響に関する国連科学委員会2016年報告書 科学的付属書C内部被ばく核種の生物学的影響ートリチウムー」および「多核種除去設備等処理水の取り扱いに関する小委員会」資料と同じ立場であるということでよろしいでしょうか。

 また、回答書では「トリチウムは、他の放射性物質と比べて人体への影響は低いと言われております」としていますが、「原子放射線の影響に関する国連科学委員会2016年報告書 科学的付属書C内部被ばく核種の生物学的影響ートリチウムー」では、

AGIRAGIRThe United Kingdom Advisory Group on Ionising Radiation−引用者)は、さまざまな細胞学的および遺伝学的研究から 得られたHTOを用いたトリチウムからのβ線のRBE(Relative Biological Effectiveness: 生物学的効果比−引用者は、一般的にX線を基準とした 場合には12γ線を基準とした場合には23の範囲であることを指摘した」(「原子放射線の影響に関する国連科学委員会2016年報告書 科学的付属書C内部被ばく核種の生物学的影響ートリチウムー」271)など、哺乳類に対するトリチウムのベータ線放射による RBEを調べた約 50の実験結果から、ガンマ線を1とするとトリチウムのRBE中央値は2−2.5付近にあること、また線量が低いほど RBE が高くなる一般的傾向があることを指摘しているが、これも同意しますか。


の疫学調査に関する項目において、「多核種除去設備等処理水の取り扱いに関する小委員会」において、「トリチウムを排出している原子力施設周辺で共通にみられる(トリチウムが原因と考えられる共通の)影響は見つかっていない」と「整理されております」と回答していますが、この点については明確な反論が各所からなされています。

 カナダの CANDU 型原子炉はトリチウムを環境中に多く排出し、その周辺に小児白血病や先天性異常が増加しているという報告は2016年のUNSCEARにもとりあげられています。特にPickering原発のHTO放出は多く、原発から25km以内で先天異常、死産、新生児死亡率の増加が報告されています。

 ドイツのKKiK調査(2008)では原発から5km以内の5才未満の子どもの白血病やがんがそれ以遠の地域におけるよりも増加していると報告されています。その原因は原発から排出されるHTO14Cのためと考えられています。2018年にはトリチウム被ばくした核施設労働者の染色体異常が、被ばくのない労働者に比較して約3倍多いという報告がされています。

 こうした疫学的研究に関してはどうお考えでしょうか。

 また、前回の質問に添付した資料についても「科学的根拠の欠ける論拠」と回答されていますが、具体的にどのような判断基準で「科学的根拠にかける」と結論しているのでしょうか。


の海外の健康被害の項目において、「国内のみならず、国外での健康被害の責任も東京電力にあるということで間違い無いでしょうか」という質問には回答がなされておりません。回答願います。


の水道水とのトリチウム濃度差の項目ですが、水道水のトリチウム濃度のみが回答されており、「ALPS処理水」のトリチウム濃度、水道水との濃度差について、回答されておりません。回答願います。


の生物濃縮に関する項目において、「濃縮はしない」と回答していますが、有機トリチウムが生物濃縮するという研究結果も存在します。回答は有機トリチウムを想定しない「トリチウム」に関する回答ですか。その場合、有機トリチウムについては生物濃縮しないと考えているのか否か、回答願います。


の漁業関係者との合意に関する項目で、福島県および大熊町・双葉町については「事前了解が必要」と回答しながら、漁業関係者については「丁寧な説明を継続」と回答しているのは、漁業関係者について「事前了解」は必要ないという認識で間違い無いでしょうか。また、実際の放出についても同じでしょうか。


放出される放射性核種の第三者機関による監視の項目において、国際原子力機関(IAEA)が専門家を招く国として中国の名もあげていますが、報道によると中国は放出そのものに反対し、82日のNPT再検討会議でも日本を名指しで批判したと報じられています。中国も参加するという具体的な話は進んでいるのでしょうか。


のロンドン条約に関する項目において、「船舶、航空機又はプラットフォームその他の人工構築物からの海洋への故意に処分すること」に今回の「海洋放出は当たらない」という回答ですが、「人工構築物」から「故意に」処分しようとしていることは疑いがないのではないでしょうか。そもそもロンドン条約が汚染物の海洋投棄を基本的に禁止する趣旨であることは理解しているでしょうか。


以上