東電が再回答 悪質なごまかしを露呈 放射能汚染水の海洋投棄に関する再質問(9月1日送付)に対し、東電は9月28日付で回答書を送付してきました(東電の回答書はこちら)。何点か批判します。 ①「トリチウムは、他の放射性物質と比べて人体への影響は低い」は悪質なごまかし 東電は回答の中で、「他の放射性物質と比べて」の真意についてセシウム137のガンマ線(約667keV:eVはエネルギーの大きさの単位、keVは1000eV)、ストロンチウム90のベータ線(約546keV)などと比べてトリチウムのベータ線は「非常に弱く(最大19keV、平均5.7keV)」などと回答しています。しかし細胞やDNAを構成する分子の化学結合のエネルギーは0.1eV(水素結合など)〜4eV(共有結合など)しかなく、「非常に弱い」トリチウムのベータ線ですら細胞の分子結合の1000〜5万倍のエネルギーをぶつけていることになります。「非常に弱い」どころか人体には猛毒であり、これは悪質なごまかしです。 また、疫学的なトリチウムの健康被害の報告を「科学的ではない」と言い放つ根拠について、東電は回答できませんでした。「健康被害の責任は東電にあるか」にも回答せず。 ②「ALPS処理水」のトリチウム濃度も回答せず 水道水に含まれるトリチウムと汚染水のトリチウムを同等に扱う態度に対し、濃度が違うことを質問していましたが、汚染水のトリチウム濃度について再回答でも「1,500Bq/l未満」に希釈することのみを繰り返し答えず。 さらに、トリチウム単体のみならず、有機結合物となったトリチウムについても生物濃縮はしないと強弁しました。東電はあたかもトリチウムは水と同様に排出されやすく生態半減期は短いから人体への影響は少ないとしてきましたが、有機化合物の生態蓄積を無視しているということです。 ③漁業関係者への約束もごまかし 汚染水放出用のトンネル着工について、福島県、双葉町・大熊町の了解を得ながら漁業関係者の了解を得なかったことについて、「2015年の漁業関係者の皆さまとの約束を遵守する」とごまかしています。しかしながら、実際の放出についても了解を取らないのかという質問に対しても「説明を尽くしてまいる所存」としか回答しませんでした。
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