3月31日に署名提出を行い、同時に3回目の質問を渡し、4月19日付けで回答(回答書はこちら)。汚染水の海洋投棄に踏み切る決断と開き直り、全面的な放射能安全神話の回答でした。
◆しきい値モデルに固執した安全神話
東電は「確定的影響は、しきい線量を超えなければ放射線影響は発生しません」とお決まりの安全神話を繰り返す。しかし放射線によって破壊される細胞組織やDNAの修復が失敗する確率が「100mSv未満では0になる」根拠などどこにも存在しない。「100mSv」とは企業利益との関係で労働者の許容被ばく線量を緩和してきた結果生まれた数字でしかない。人体実験が不可能である以上、「100mSv未満は安全」なる実験データも存在しません。「100mSv未満の被ばくでは、他の生活習慣などによる死亡率・発がん率の増加と区別できない」などと開き直ることしかできない。「DNAが損傷を受けると、修復酵素が駆けつけて、こうした傷を修復します」など、“治るから殴っても良い”という論理であり、被ばく線量はゼロにしなければならないという原則を無視している。
世界的なトリチウムの発病・発がんをめぐる疫学的な調査を「科学的ではない」と否定する根拠について「調査・推定方法にさまざまな欠陥」「UNSCEAR報告書にも記載されていない」など、具体的根拠を示さなかった。また、「人および環境への影響は極めて軽微」の根拠も、生物濃縮の可能性を否定し、あたかも均一にトリチウムが拡散し薄まると主張するのみ。汚染水内のトリチウム濃度は「約10万〜250万Bq/l」と初めて明らかにした。
◆汚染水のデータ「放出判断に使わない」と居直り
米の核物理学者が東電の公表データを解析し「何が入っているかわからない」と指摘したことにより「薄めれば安全」論は根本から崩壊した件については、「(データは)放出可否判断に使用されるものではなく」などとごまかし、反論できなかった。汚染物質の特定すらできない状態では対策など立たないはずです。
◆漁民との合意は無視する構え鮮明
陸上保管の可能性は改めて否定。漁業関係者の合意無くしては放出しないのか否かは結局答えなかった。「『海洋への安易な放出は行わない』との方針を今後も堅持」などと、放出の準備を着々と進めているにもかかわらず抜け抜けと回答し、「安易な放出ではない」と言いさえすれば放出していいと考えている。絶対に許せません。
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