汚染水の「海洋放出」を絶対阻止するため全力をあげて闘う
2021.4.14 すべての原発いますぐなくそう!全国会議

(1)菅政権は4月13日、東京電力福島第一原発の敷地内タンクに貯まる汚染水の「海洋放出」を閣議決定した。絶対に許すことはできません。即時撤回を求めます。
 今回の「決定」は、命と健康をないがしろにする政府の姿勢の暴露であり、漁民の生活をかけた訴えの無視であり、3・11福島原発事故10年で「原発はいらない」と誓った福島・全国、全世界の人々の思いを全力で叩き潰そうとする暴挙です。東電の事故に対する責任をなきものにし、東電の原発再稼働へ道を開くものです。
 閣議決定当日、福島県庁には多くの県民が抗議に押しかけ、県知事に会いにきた梶山経産大臣は裏口から入らざるを得なかった。国会前初め全国で行動が取り組まれ、撤回しろ、阻止はできるという声が相次いだ。
 東電は直ちに海洋放出の準備を開始すると報じられ、放出開始は2年後とも報じられています。海洋放出阻止へ全力をあげて闘うことを呼びかけます。

(2)今回の事態は、福島の県民や漁民の反対を一切無視した暴挙であり、「福島原発事故10年」で改めて「原発はいらない」と誓った私たちの思いを踏みじるものです。
 菅政権は7日、昨秋から先延ばしにしていた汚染水の処理法の決定を突如表明、福島に足を運ぶことなく岸宏全漁連会長を官邸に呼びつけた。岸会長は「反対という考えは変わらない」と菅首相に突きつけ、「東電の近々の不祥事は安全性が担保されるかを考えると極めて強い疑念を抱かざるを得ない」と強調した。もともと東電は2015年に県漁連に対して「関係者へ丁寧に説明し、理解無しにはいかなる処分もしない」と約束していた。
「約束違反だ」という漁民の生活をかけた声を聞け! 菅!
 フクシマ10年の3•11では、全国と世界で反原発の行動が取り組まれ、菅首相の「福島をなかったことにする」思惑は完全に破綻した。だからこそ、福島に何の相談もなく「正式決定」とむしろその声を叩き潰しにかかっている。原発反対の世論はいまだ8割を超えている。これを全体重をかけて巻き返そうというのです。
 これは3・11原発事故10年で改めて誓った「原発はいらない」という私たちの原点を
かけた闘いです。

(3)トリチウム汚染水の問題は、被曝と健康被害の問題であり、風評ではなく実害ですトリチウムだけをとっても健康被害の報告は世界中で出されており、政府の「水と同じだから10日程度で出ていく」という主張は真っ赤な嘘です。むしろ水だからこそ、体内の細胞にある水素と置き換わり、DNA損傷のダメージが大きい。どんなに薄めても捕食関係を通した生態濃縮によって必ず人間に跳ね返る。
 また、海洋投棄に携わる労働者の被曝も指摘されている。「飲んでも何てことない」(麻生太郎)としながらも海洋投棄のみに方法が絞られた背景には、最もコストが安いことがあるという。命と健康よりもカネ、この姿勢はコロナ対策と共通です。

(4)何より東電の責任を曖昧にしてはなりません。福島第一原発からは放射性廃棄物の詰まったコンテナが8万5千基確認され、そのうち4千基は中身もわからない。事故を起こしても東電の姿勢は変わっていない! 避難者、健康の不安を抱える県民、全てを切り捨て再稼働へ向かうなど絶対に許されない。

 海洋放出は30〜40年かかると言われる、とてつもない量です。しかもこの汚染水の量は溶け落ちた核燃料デブリを取り出さない限り、日々増え続けます。事故によって増え続ける汚染水は、原発は手に負えない現実であることを真正面から見据えることすらできない。どうしてここから原発の再稼働や新規建設という結論が出てくるのか。再稼働の道を開く海洋放出を許さず、国と東電に責任を取らせよう。

(5)核武装や改憲に向かう菅政権を倒そう
 日本政府は「国の基準の40分の1に薄めて放出する」「海洋放出は世界で行われている」などと主張するが、重大な点が隠されている。青森県六ヶ所村・使用済み核燃料再処理工場をフル操業した場合(2025年予定)、福島原発の汚染水タンクの現在の総量860兆ベクレルに比しても、年間9700兆ベクレルという桁違いのトリチウム汚染水を放出することになるという事実です。

 自民党は日本独自の核技術の確立を目指して再処理工場に固執してきました。それは核武装に必要不可欠だからです。福島原発事故の問題に踏みとどまっている場合ではない、これが菅政権の本音です。人生とふるさとを奪った上に、海まで奪うのか。福島の怒りは激しく燃え上がっている。福島原発事故の責任をなんとしても取らせ、原発と核のない社会を作る闘いの正念場です。
 すべての皆さんに、汚染水海洋放出を阻止するため、全力をあげて闘うことを訴えます。